インターネットでのアイデンティティをまごつかせて

第二の思春期を終えたオジサンが、何故私は働くのか私の生きている意味はなんなのかについて思春期のように省察するブログです。

劇場版 のんのんびより ばけーしょんの感想 ― ここではない、どこかにあった夏のお話

これは私の話なんだけど、

ここではない、どこかでみたことがある永遠の夏って思い出は、驚くべきことに私達の中に共有の体験としてあったりする。
それは小説や映画や漫画やアニメやゲームや写真に記憶の中にあったり、日本人以外の中にももちろんあったり、オタクではない私達の中にもあって、きっと多くの色々な人達なのに、なにか共有された永遠の夏の経験・イメージ・記憶がある。
もしかするとそれは、夏休みに田舎に帰ったときの記憶だったり、暮らしていた田舎の記憶だったり、物語の中の記憶だったり、都市生活者達のなかにある共有され美化された思い出なのかもしれない。

それが私の場合だと「ビューティードリーマー」や「同級生」や「となりのトトロ」や「Air」だったり、今日観てきた「のんのんびより」だったりする。
のんのんびより」って作品は、どこかにある日本の田舎で楽しく可愛く元気に日々を過ごす少女達を描いた最高に素晴らしくってにゃんぱすーな作品なんだけど、今回の映画は、そんな普段は田舎に暮らしている「のんのんびより」の登場人物たちが、ひと夏の思い出の、永遠の夏を経験する。彼女達は、私達がよくイメージに抱く永遠の夏がありそうな田舎に暮らしている登場人物たちなんだけど、そんな彼女たちが自分たちの田舎から離れて別のどこかにあった永遠の夏を経験するって点が本当に最高の物語であり、映画を見た人間は否応なく夏休みの思い出を共に体験するだろうし、だから観たほうがいいんじゃないだろうか。
私達にとって、彼女たちの日常はひとつの永遠の夏の舞台なんだけど、そこで暮らす彼女たちが、彼女たちの舞台を離れて、別のここではないどこかで永遠の夏を体験する様が本当に丁寧に描かれていた。

私は、永遠の夏ってのは、ここではないどこか別の場所にある夏ってイメージが強くて、のんのんびより劇場編で描かれていた夏の思い出と似たような経験を山形でしたことがあって、それが本当に自分がした経験なのか、それともあとから作られたイメージだったのか確認しに去年訪れたのだけど、それは作られたイメージじゃなくって本当の私の記憶であって、ここではないどこかでした永遠の夏は本当にあったんだって感動したし、きっと「のんのんびより」で描かれた永遠の夏はきっとどこかであるし、また別の人がそこではないどこかで永遠の夏を経験するんだろうなーって喜びを私に思い出させてくれたいい作品でした。f:id:Sebastianus:20170802103045j:plainf:id:Sebastianus:20170802110056j:plain
もう平成も最後の夏を迎えてしまうので、この機会に「のんのんびより」を見て永遠の夏に思いを馳せてはいかがでしょうか。